2023年ドラフト指名振り返り【福岡ソフトバンクホークス】

去年の10月26日、2023年プロ野球ドラフト会議が開催された。

 

今回はホークスファンでありドラフト候補も追っていた視点から、ホークスが指名した支配下選手7人の特徴をまとめて、指名全体を総括する。

 

 

 

 

 

 

ドラフト前の考察記事

shiro44k.hatenablog.com

 

 

指名選手

 

 

1位 前田悠伍

 

プロフィール

大阪桐蔭高校出身、180cm80kgの最速148km左腕。

 

中学1年の時、U12代表でカル・リプケン世界大会に出場し優勝。

高校では1年秋からメンバー入りし、神宮制覇に貢献。最速145km左腕として一気にプロ注目選手に。

2年春の選抜も防御率0.00の活躍で優勝。2年の秋も神宮を制し2連覇へと牽引した。

3年の4月に軽い肘痛を発症。夏の予選から復帰したが、決勝で履正社相手に8回3失点で敗れた。

秋のU-18W杯ではエースとして初優勝に導く活躍。

 

 

成績

甲子園通算成績(22春・22夏・23春)

8試合 44回 防御率1.23 被安打率5.93 奪三振率13.09 四死球率1.43

 

23年U18W杯成績

3試合 16.2回 防御率0.54 被安打率4.86 奪三振率7.56 四死球率1.08

 

 

ドラフト1位指名の戦略

ドラフト前、個人的に望んでいた1位指名の序列が常廣≧武内≧西舘>前田≧細野≧下村≧古謝>岩井。

 

その中でドラフト2日前の朝にホークス武内入札濃厚の報道、昼に西武が武内公言、翌日ホークスも公言、という流れがあった。

武内という人選と公言したことは個人的にもベスト。欲を言えば最初に公言して西武も牽制してほしかったが。

 

 

ドラフト本番でヤクルトも突っ込んできて武内が最多競合になったのは予想外。ホークスが公言したことで、常廣か西舘が最多競合になりそうだと思っていた。

初回入札は武内と度会3球団、常廣と西舘2球団、下村と横山が単独という結果に。度会3球団と横山単独は予想外。ホークス的にはおいしい展開で、前田獲得につながった。

外れ1位に前田と細野が残っていたのも意外だった。

 

 

ドラフト後日談として永井スカウト部長は、1位評価に武内・前田・西舘・常廣の4人が拮抗していたことを明かしている。

細野の名前が無かったことは意外だったし安心したところ。ドラフト前は武内・西舘・常廣・細野の4人が入札の中心になるという予想が多かったが、細野は近年のホークスが好んでいたものの育成しきれていなかった典型的な制球難のパワーピッチャーだから。

 

また、被らない選手にいきたかったが悩んでいるうちにカープが常廣を公表した、武内と前田の2択で評価は五分五分だったが大学生を優先した、最終的に決まったのはドラフト前日の武内を公表した日、とも語っている。

個人的には武内か西舘で悩んでいてほしかったが、そのぐらい評価が高かった前田を取れたとポジティブに捉えることもできる。

 

 

さらに、前田の抽選で仮に外していた場合は草加か古謝の可能性が高かった(そこでもかぶっていたんじゃないか)、そこでも外れたら進藤だったとも明かしている。

草加は中日とロッテで競合したが、ここでも名前が出るほど評価が高かったことに驚いている。事前では2位前半予想が多かったところから秋になって1位候補にも名前が出るようになっていた。

古謝は納得だが、ここでも細野の名前は出ていない。

外れ外れ外れでは進藤だったという発言には困惑。評価が高かった大学生投手にまだ上田や岩井が残っていたし、その2人より進藤を評価していたとしても大学生投手と大学生捕手の需要には大きな差があったから、その方針には明確に反対。そうならなくて良かったと安堵している。

 

 

ドラフト1位全体の最終結果を見ると予想通り大学生投手が人気で、その中でも制球力がある武内前田草加に集まり、パワーピッチャーの常廣西舘細野に思ったより集まらなかった。

 

 

事前評価

前田の事前の評価としては、1年秋の活躍から世代NO.1投手として常にドラ1確実評価だった。3年の夏が不完全燃焼で終わり1位中盤評価も増えていたが、W杯の活躍で再び1位前半評価を取り戻していた。

 

 

ドラフト当日

当日の前田指名からくじを引き当てた流れでは、補強ポイントだった即戦力の大学生投手ではなく高校生投手という選択に複雑な心境だった。ただ、そもそも前田が初回入札で消えて当然の選手だったこと、外れで3球団競合したこと、ドラフト後の永井スカウト部長が「(武内と前田は)スカウトの評価もすごく競っていた。『来年』と考えたときに先に武内君となったけど、同等の評価があったので」と語っていることもあり、今はほとんど不満は無い。

 

 

特徴

前田の特徴は抜群の完成度と圧倒的な実績。

常時約140kmのストレートと決め球のチェンジアップを主体に高い奪三振能力と安定感抜群の制球力がある。

また、中学1年の時に世界大会で優勝。高校では1年秋から主力になり甲子園や国際大会で結果を残し続けていて、圧倒的な実績と大舞台の経験が豊富。

 

その完成度の高さから2年目3年目、欲を言えば1年目から1軍で投げてくれることも期待できる。

永井スカウト部長は「スカウトの中でしっかりと計画を立てたいけど、武田翔太のように1年目から1軍で出られる素材だと思っている。ただ、大切な素材なのでしっかりと体作りと登板というように計画を立ててやっていきたい」、小久保監督は「4月からというのは考えにくいけど、球団がしっかり管理した中でゴーサインが出れば1年目の後半というのも十分考える力はあると思う。焦らせることはないけど、1年目だから1年間体作りというタイプではないと聞いている」と話している。

 

不安な点としては伸びしろ・球速・曲がり球の3点。

1年秋に出てきたころから既に完成されていて、3年になっても明確なスケールアップはできていない。特にストレートの球速があまり伸びていなく、あと5kmぐらいは伸ばしてほしいところ。

また、三振を奪っている球種の8~9割はストレートとチェンジアップで、投球割合も見てる限り少ないカーブやスライダーの威力には不安がある。

 

 

 

2位 岩井俊介

 

プロフィール

名城大学出身、182cm90kgの最速156km右腕。

 

京都翔英高校では控えで、実績なし。

名城大では1年の秋からベンチ入り。

2年春に先発として活躍。秋は中継ぎに回ったが3年春から再び先発に戻り、4年春にエースの座を掴んだ。

6月の日本代表合宿では回転数2780rpmを記録。

 

 

成績

大学通算成績

35試合 172回 防御率1.88 被安打率6.49 奪三振率8.42 四死球率3.45

 

全国大会通算成績(21選手権・22選手権・22神宮)

5試合 15.2回 防御率1.15 被安打率5.74 奪三振率7.47 四死球率1.72

 

2023秋リーグ戦

6試合 40.2回 防御率1.77 被安打率7.30 奪三振率7.97 四死球率2.43

 

 

事前評価

事前評価は1位終盤から2位前半。

 

 

ドラフト当日

岩井が2位の8番目まで残っていたのは僥倖だったし、ホークスだったら高校生野手の真鍋や明瀬を指名しそうだったから、まっすぐ岩井を指名してくれて歓喜したのを覚えている。

 

永井スカウト部長はドラフト後に「2巡目で、残っている一番良い投手を取れました」と話している。

 

 

2位全体の展開

2位全体としては、社会人と独立の投手(松本・森田・大谷・椎葉)の評価が予想以上に高かった代わりにそれ以外のジャンルの評価が低かった(高校生投手では東松や木村、野手では廣瀬・明瀬・真鍋)。

 

 

特徴

岩井はスリークォーターのパワーピッチャーで、回転数が多いストレートと空振りが取れるスライダーが特徴。

球種はストレートとスライダーがメイン、次いでフォークという印象。

映像を見る限り、2022年秋の明治神宮大会はフォークが冴えていたが、それ以外はスライダーで三振を取っているシーンが多く、ストレートとフォークの威力には不安がある。

 

 

1年目への期待

愛知リーグでの指標は優秀ではあるが無双しているとは言えず、1年目から先発での大活躍はあまり期待できない。

1年目は先発中継ぎ問わず一定の活躍が出来たら十分。2年目以降からのローテ入りに期待。

 

 

 

3位 廣瀬隆太

 

プロフィール

慶応義塾大学出身、182cm91kg右投げ右打ちの一塁手二塁手

一塁到達タイムは4.3秒強、遠投120m。

 

慶応高校では主に一塁手、3年からは二塁手を務めた。高校通算41本塁打

慶応義塾大では1年の春からベンチ入り。1年秋から3番ファーストの座をつかみ好成績を残す。

翌2年春の大会からセカンドを兼任し、4年春から主将としてチームを牽引。

ファーストで2度、セカンドで1度ベストナインを受賞し、最多本塁打を2度記録した。

 

 

成績

大学通算成績

89試合 338打数 打率.260 20本塁打 出塁率.369 長打率.476 OPS.845 三振率21.5% BB/K0.68

 

全国大会通算成績(21選手権、21神宮、23神宮)

7試合 28打数 打率.464 4本塁打 出塁率.531 長打率1.107 OPS1.638 三振率9.4% BB/K1.33

 

国際大会通算成績(22ハーレム、23日米)

9試合 31打数 打率.258 1本塁打 出塁率.303 長打率.419 OPS.722 三振率24.2% BB/K0.25

 

 

事前評価

1年の秋からOPS1.050、2年春.911、2年秋.770、3年春.986と2年秋以外はOPS0.9を上回り1位確実評価だったが、3年秋からOPS.740で三振率30.3%、4年春打率.192でOPS.854、4年秋OPS.719と不調が続き、ドラフト直前は2位前半が中心の評価だった。

 

 

ドラフト当日

ドラフト当日は宮崎・日當・真鍋・明瀬辺りが指名されたら嬉しいと思っていたなかで廣瀬の名前が呼ばれて困惑したが、1位もありえる評価だった選手を3位で取れてるし、一三塁候補ではなく二塁候補として考えたら今は納得している。

 

永井スカウト部長はドラフト後に「3巡目でも、広瀬隆太君(慶大)が残っていたのは願ったりかなったりでした」と話している。

 

 

特徴

廣瀬は一塁と二塁を守る右打ちのスラッガー

持ち味は何と言っても長打力。東京六大学通算20本塁打で、打球速度は今ドラフト候補で1位、近年でも断トツらしい。

 

不安な点は打率と三振率とセカンドの守備。

打撃は一見するとリチャードと同じタイプで安定感が課題になりそう。

守備はセカンドを守れる最低限の守備力があるかどうかが鍵。希少な「打てるセカンド」に期待。

 

 

1年目への期待

1年目から1軍での活躍は高望みか。まずは2軍で成績を残してほしい。

 

 

 

4位 村田賢一

 

プロフィール

明治大学出身、180cm92kgの最速150km右腕。

 

春日部共栄高校では2年秋の予選からエースを担い、8連続完投、71回63三振、防御率2.41を記録し関東大会準優勝を達成。

翌3年春の選抜で全国デビューも打ち込まれて1回戦で敗退。続く春の県大会ではノーヒットノーランを達成した。

 

明治大学では1年の2月に右肘の手術。2年の夏までをリハビリに費やし、秋に初勝利を飾った。

3年春に先発の座をつかみ、2番手で5勝をマーク。3年秋からエースを担う。

4年春には3勝、防御率0.80でベスト9を獲得。この活躍で代表候補入りをはたし、選考合宿で150kmを計測した。

 

 

成績

大学通算成績

36試合 159.2回 防御率2.09 被安打率6.88 奪三振率5.47 四死球率1.80

 

全国大会通算成績(22選手権・22神宮・23選手権)

5試合 35.1回 防御率1.02 被安打率6.37 奪三振率5.86 四死球率0.51

 

2023秋リーグ戦

31回 防御率4.35 被安打率11.32 奪三振率5.52 四死球率2.61

 

 

事前評価

事前評価は3~4位。4位の8番目で取れたのはおいしい。

 

 

ドラフト当日

ドラフト当日は、ドラフト前から名前が挙がっていた選手を4位でも指名してくれて嬉しかった記憶。

 

 

特徴

持ち味はコントロール。大学通算四死球率は1.80、全国大会の通算四死球率は0.51。

 

課題はストレートの球速と奪三振率。

大学レベルでも奪三振率はまずまずで、プロで活躍するにはもう一段階スケールアップが必要だろう。

 

 

1年目への期待

1年目から1軍のローテに入ってくることはあまり望めない。2年目3年目からの活躍に期待。

 

 

 

5位 澤柳亮太郎

 

プロフィール

ロキテクノ富山出身、180cm85kgの最速151km右腕。

 

明治学院大学では首都2部で救援兼先発としてプレー。

プロを志望したが指名がかからず社会人へ進んだ。

 

ロキテクノ富山では1年目の都市対抗で全国デビュー。最速149km、平均148.5kmを計測した。

1年目の10月には国際大会のU-23W杯に参加。

 

 

成績

大学通算成績

35試合 110回 防御率3.11

 

国際大会成績(2022年U23W杯)

5試合 6回 防御率3.00 被安打率6.00 奪三振率13.50 四死球率6.00

 

2023年公式戦成績

13試合 15回 防御率0.60 被安打率6.00 奪三振率9.60 四死球率2.40

 

 

事前評価

ドラフト前は支配下指名の予想はほとんど無かったと記憶。

 

 

ドラフト当日

ドラフト当日は5位まで来て初めて知らない名前が呼ばれたが、下位ということもあって2022年ドラフトの2位大津・3位生海ほどのショックは無かった。

 

 

特徴

特徴は回転数2500rpmをマークするストレートと決め球になるカットボール・フォーク。

ストレートは特別速いというわけではなさそうだが、コントロールもそこまで悪くはなさそう。

また、ほとんど投げていないカーブの変化量が60cmを超えていて、強力な武器となる可能性を秘めている。

 

 

1年目への期待

1年目は中継ぎで即戦力の活躍に期待。

球団は先発としての可能性も見ているらしく、中継ぎで活躍できたらそれも見てみたい。

 

 

 

6位 大山凌

 

プロフィール

東日本国際大学出身、180cm80kgの最速153km右腕。

 

白鴎大足利高校では控え投手だった。

大学1年春のリーグ戦はコロナ禍で開催中止。

1年秋から救援としてメンバー入り。2年秋から先発も務めるようになり、3年の春からエースを担った。

6季中3季で防御率1位に輝き、ベスト9を2度、優秀賞、最優秀投手、最多勝を1度獲得している。

 

 

成績

大学通算成績

29試合 127回 防御率0.71 被安打率4.46 奪三振率10.42 四死球率2.27

 

全国大会通算成績(22選手権・23選手権)

4試合 25回 防御率2.52 被安打率7.56 奪三振率6.48 四死球率4.68

 

 

事前評価

ドラフト前は下位予想が多かったが、6位まで残ってたのは意外だった。

 

 

ドラフト当日

ドラフト当日は2位岩井・4位村田・5位澤柳に続き4人目の大社投手指名という徹底ぶりで、さらに残っていた中でも聞いたことがある投手を指名してくれて嬉しかった記憶。

 

 

特徴

リーグ戦では圧倒的な指標を残している先発投手だが、イニングがあまり食えていないのと、全国大会では数字が悪くなっている。

また、まだ線も細く即戦力というよりは素材型。

 

 

 

7位 藤田悠太郎

 

プロフィール

福岡大大濠高校出身、170cm72kg右投げ右打ちの捕手。

高校通算43本塁打。二塁送球1秒83。

 

小学6年の時にソフトバンクJr.入り。

福岡大大濠高校では1年生の春から6番ファーストでレギュラー。秋から捕手を担う。

2年秋からは主将兼4番を務めた。

3年春の県大会で優勝、プロからも注目される存在に。

 

 

成績

2023年夏福岡大会成績

3試合 8打数 4安打 1三振 3四球 出塁率.636 長打率.625 OPS1.261

 

 

事前評価

ドラフト前は下位や育成で予想されていた。

 

 

ドラフト当日

ホークスには20代前半で有望な捕手に渡邉陸と吉田がいるため、大学生捕手はもちろん高校生捕手ですら指名の優先度は低いと思っていたから藤田の指名は意外だった。

 

後になって考えると7位という下位指名、地元の選手、2020年ドラフト3位牧原の伸び悩みなど納得できる要因はある。

 

 

藤田獲得の裏側

永井スカウト部長はドラフト後に「捕手は1人欲しかった」、「藤田君は高校生の捕手で評価が最も高かった。オリックス4位堀とヤクルト4位鈴木もリストに上がっていた」、「ちょっと拓也に似ている。スローイングがコンパクトでコントロールも良い。動きも俊敏。渡邉陸(来季高卒6年目)は成長過程だし、拓也のライバルが出てきてほしいというのもある」と話している。

 

捕手が1人欲しかったというのは、九鬼の戦力外や海野や牧原の将来の戦力外を見据えての意図か。これで支配下の捕手は8人になり、過剰に感じる。

 

藤田が高校生捕手で評価が最も高かったというのも意外。2022年ドラフトの大野と同じく地元の選手というのも考慮しての評価だろうが、それにしても4で指名された堀や鈴木と同等近い選手を7位で取れたんだとしたらポジれる。

 

また、渡邉陸の名前が出ていて球団から彼への期待を感じる。

 

 

特徴

高校通算43本塁打と一定の長打力はありそうで、守備に関しても肩の評価が高い。

ただ170cmと小柄なため守備型の捕手として期待することになるだろう。

 

 

 

育成

1位 大泉周也(福島レッドホープス、外野手、左投左打)

2位 宮里優吾(東京農業大、投手、右投右打)

3位 佐倉侠史朗(九州国際大付高、内野手、右投左打)

4位 中澤恒貴(八戸学院光星高、内野手、右投右打)

5位 星野恒太朗(駒澤大、投手、右投右打)

6位 藤原大翔(飯塚高、投手、右投右打)

7位 藤田淳平徳島インディゴソックス、投手、左投左打)

8位 長水啓眞(京都国際高、投手、左投左打)

 

 

高校生投手2人、高校生内野手2人、大学生投手2人、独立投手1人、独立外野手1人で、投手5人・野手3人という内訳。

 

注目は1位大泉・3位佐倉・4位中澤の野手3人。

 

大泉については永井スカウト部長がドラフト後に「間違いなく早いうちに出てくる」、「生海、そして川村友斗といい勝負をすると思います」、「彼の映像を見て『これは、(他球団にばれるから視察に)行かないでくれ』と伝えました」と期待できる発言をしている。

 

 

 

総括

 

補強ポイント

ドラフト前に補強ポイントだと考えていたのが大学生社会人投手とセンター。時点で高校生投手と二遊間。

特に大学生投手は上位で最低2人、全体で最低3人は指名してほしいと思っていた。

 

 

1位で高校生投手という選択はベストではなかったが、完成度の高い前田だったら十分納得できる。それをカバーするように2位で大学生投手を指名、以降も補強ポイントかつ評価が高かった選手を指名できていて、文句のつけようはないと言っていい。

特に即戦力投手を4人指名してくれたのは、やっとかという思い。

ただ、結局今年も即戦力投手の1位指名が叶わなかったのは痛いところ。

 

 

2024年ドラフトでは1位即戦力投手を基本に、2位以下で即戦力投手・高校生投手・川村の台頭次第でセンター・野村勇の台頭次第でショートが今のところの補強ポイント。

 

 

 

投手と野手のバランス

投手5人:野手2人の投手ドラフト。

 

2019年からの4年間はほぼ野手ドラフトが続いていて、2018年以来5年ぶりの投手ドラフトとなった。

 

 

 

高校生大学生社会人のバランス

高校生2人、大学生4人、社会人1人の即戦力ドラフトだった。

 

2018年から即戦力、即戦力、高校生、バランス、即戦力、即戦力と、7~10年前にあった傾向は鳴りを潜めてここ6年は即戦力ドラフトの傾向が強くなっている。

 

 

 

指名ジャンル

ジャンルごとに分けると、高校生投手1人、高校生野手1人、大学生投手3人、大学生野手1人、社会人投手1人という内訳だった。

 

 

近年の傾向である大社の即戦力野手指名は今回も続いた。

2012年ドラフト3位髙田以降の6年間は大学生社会人野手の指名が無かったが、2019年3人、2021年2人、2022年2人、2023年1人と、ここ5年で8人指名している。

 

 

近年の野手ドラフトによって少なくなっていた大社投手の指名は今回でやっとカバーした形。

2018年こそ5人も指名したが2019年は3位津森1人、2020年0人、2021年は5位大竹1人、2022年は2位大津と5位松本晴の2人で、4年で4人だけの指名だった。その中でも大竹と松本は素材型という明らかな供給不足。

 

 

事前では大学生投手を上位で最低2人、全体で最低3人は指名してほしいと思っていた。今回社会人投手含めて全体で4人指名してくれたものの上位で最低2人の希望は叶わず、来年以降も上位、特に1位でエース候補となる大学生投手指名が望まれる。

 

 

 

選手の特徴

指名した投手の特徴として、2022年のコントロールを重視した方針が今回も続いた。

 

2022年ドラフトで指名した投手3人の大津・大野・松本晴は身長や球速に秀でていなく、特に大津と松本晴はスカウトからコントロールが評価されていた。

 

2023年ドラフトでは、1位前田と4位村田がそれに当てはまる。

1位前田は最速150km未満の左腕。村田も最速150km右腕でストレートの威力に不安はあるがコントロールに優れている投手。2人とも、特に右投手の村田は数年前のホークスだったらまず指名しないタイプ。

 

 

野手ではスラッガー指名がここ4年続いている。

野手ドラフトが始まった2019年ドラフトこそ1位佐藤と2位海野が守備型で5位柳町が巧打者タイプだったが、2020年ドラフトからは1位井上と2位笹川、2021年ドラフトは支配下の2人と育成2位川村、2022年ドラフトは3人ともがスラッガーだった。

2023年ドラフトでも3位廣瀬と育成1位大泉がスラッガータイプ。

 

スラッガーの中でも大学生外野手の指名が、2021年2位正木と育成2位川村、2022年3位生海、2023年育成1位大泉と、支配下と育成の上位で3年続けて指名されていて、ポスト柳田となる外野の主軸が出てきてほしいという意図を感じる。